理系大学院生のトビタテ留学記~日本人の98%がいかないかもしれないスロベニア~

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フランス パリでの盗難被害

皆さん、こんにちはスロベニアに留学中のりょうです!

実に1ヶ月半ぶりのブログ投稿になります!最後にブログを投稿したのが11月7日(木)でした。なぜ、こんなにも長い期間ブログ投稿をしなかったのか?理由はいくつかあります。その中でも一番大きな理由は、フランス、パリでの盗難被害にあったことです。

盗難???なにを盗まれたの???いろいろお話しすることはありますが今回は、僕がどのようにして盗難被害にあったのかということをシェアするとともに盗難被害にあったときにとるべき行動(被害に遭わないようにするのが一番いい)を皆さんにシェアしたいと思います!

さて、これまでの旅行ブログとは打って変わって盗難被害に関するブログということで正直、ブログとして書くか迷った部分もありました。しかし、今回この場をお借りして僕の経験がいつか皆さんに役立つかもしれないと思ってこのブログを書くことにしました。

まず私が今回、盗難被害にあった場所はフランスの首都、パリです。説明不要の世界的大都市であるパリ。人口は214.1万人(2019年1月1日調べ)で毎年何千万人という観光客が世界からやってきます。(フランス全体で2018年は8940万人)そんな名実ともに世界一の観光国家フランスの首都であるパリにはエッフェル塔凱旋門ルーブル美術館ノートルダム大聖堂(2019年4月に発生した火災により一部が焼失し、現在は一般公開されていない。)など世界的に有名な数々の建築や美術館などがあります。そんな華々しいイメージを持つパリですが近年、犯罪が多発していることでも有名です。犯罪の中でもっとも多いと言われているのがスリや置き引きなどの軽犯罪です。2017年調べで日本国大使館に届け出がされた数は401件。つまり1日に1件以上の犯罪が大使館に報告されているんです。この数字をみて「あれ、意外とすくないじゃん!」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんがこの401件というのは、あくまで"大使館に届け出された"件数であり、実際にはもっとたくさんの方が被害に遭われていると思って間違い無いと思います。

それでは、実際に僕が盗難にあった状況から説明していきたいと思います。

・地下鉄にて

僕が盗難被害にあったのはパリ市内を運行する地下鉄(メトロ)の車内です。その日は早朝からフランスの南部にあるリオンという都市に日本人の友人(某ヨーロッパの国に留学中)と僕の二人で出かけていました。パリ市内に戻ってきたのは夜21時のことでした。リオンからパリへの電車の大幅な遅延などもあり、疲れ果てていた僕達は一刻も早くホテルに帰り、ゆっくりしたいと思っていました。パリのリオン駅(フランス南部のリオンという都市にあるリオン駅とは別にパリ市内にもリオン駅がある、、、ややこしい。)からホテルまではメトロを乗り換えて20分くらいの道のりでした。リオン駅内の券売機でチケットを購入してメトロに乗り込んだあと、僕たちは気づきました。「あっ!ホテルと逆の方向だ!」そう思った僕たちは咄嗟にメトロを降りなければと思いました。幸い、メトロは駅に停車中だったので僕たちは急いでメトロから降りようとしました。この時、時刻は21時半ごろ。パリの地下鉄は夜でも路線によっては人が多く大変混み合っています。僕たちは混み合う電車の中で、メトロを降りようと必死でした。その時、ドアが閉まる直前に黒人の男性、3〜4人の集団がメトロに乗り込んで来たのです。彼らが乗り込むと同時にメトロの扉は閉まり、僕たちは降りることを諦めました。しかし、パリのメトロのドアにはボタンがあり、そのボタンを押すことでドアが開く仕組みになっています。(路線によってはレバーを上に上げてドアを開ける。)その男性集団は僕たちが降りたいということを察してくれたようでボタンを押し、ドアに自らの体を挟み、僕たちに道を開けてくれたのです。僕はその時、正直に「ありがとう!たすかった!ホテルに早く帰れる!」と思いました。僕たちがメトロを降りるとすぐにドアは閉まり、メトロは走り出しました。無事、メトロを降りることができ、ホテルに向かう正しいメトロ乗り場に向かおうとしたその時、僕の後ろにいた友人が僕に聞きました。「何も取られてない?笑 降りる時、人からぶつかられて痛かったー」僕はこう答えました。「大丈夫!大丈夫!」そして僕は、自分のお腹の前に持っていた小さなショルダーバックに目を落としました。

チャックが開いている。

リオン駅でチケットを買った時に財布を取り出し、その後、確実にバックのチャックを閉めていたので、僕は思いました。「盗難だ。」

一瞬頭が真っ白になりましたが、その後バックの中を確認すると、パスポートと予備のクレジットカードを入れていた財布がないことに気づきました。その時、「盗られた!」という気持ちと「いつ?」という疑問が襲ってきて頭が真っ白になりました。文字通り、真っ白です。これまで感じたことのない気持ちでした。

その後、友人と二人で別のメトロに乗りホテルに帰りました。正直、その時はまだ自分が盗難にあったという現実を半分受け入れることができていませんでした。「まさか、自分が。」「どこか他のところに入ってるんじゃないか?」そんな気持ちの中、ホテルに戻り、その時、持っていた全てのバックを確認しましたが、やはりパスポートはありませんでした。パスポートが入っていたバックの中には、財布を入れていたポーチの紐だけが残されていました。

・盗られたもの

それからというもの、まずは盗られたものをリストアップしなければという感情に駆られすぐにその作業に移りました。以下盗られたもの。

・パスポート

・クレジットカード2枚

デビットカード

・予備のSIMカード

・日本の学生証

・現金日本円で20000円程度

・その他日本で使用していたお店のカード類

今考えると、なぜこんな大事なものを同じ財布の中に入れていたのか理解に苦しみますが、当時の僕には「まさか、自分がスリに会うなんてことはないだろう。」という前提があったことが原因だと思います。(メインで使用するクレジットカードは別の財布に入れていたので無事でした。今考えると、このカードも一緒に盗まれていたら本当に大変なことになっていたと思います。)

それでは、次に盗難品それぞれに対する対処法をみなさんにシェアしたいと思います。

・クレジットカード

まずはクレジットカード会社に電話をして使用停止してもらわないといけない!と思い、日本の家族に連絡し、状況説明とクレジットカード会社への連絡をお願いしました。クレジットカードに関しては会社に連絡をした段階で幸いまだ不正利用はなく、無事に使用停止手続きを行うことができました。

・パスポート

次に問題になったのがパスポートです。皆さん、海外滞在中におけるパスポートの重要さをきちんと理解していますか?よく、パスポートは「命の次に大切だ!」と言われることがあります。当時僕は、この言葉の意味をあまり理解していませんでした。盗難にあった日の翌日、早朝にパリからスロベニアに戻る予定だったので、「まあ、どうにか帰れるだろう!」くらいの気持ちでいました。というのもヨーロッパにはシェンゲン協定という協定があり、この協定に加盟している国同士の移動はパスポート確認などを行わずとも自由に行うことができるのです。スロベニアとフランスの両国もこの協定に加盟しており、パリに来る際も、特にパスポートの提示などはなく、名前と搭乗券を提示するだけで飛行機に搭乗することができました。まあ、パスポートを再発行するにしてもスロベニアで再発行すればすぐに再発行できるから大丈夫だろう!とても楽観的に考えていました。いま、思うと頭が混乱して過度に楽観的になっていたとしか考えられません。

そんなことを僕が考えている中、僕の友人は知り合いでフランスに留学している方に連絡をとってくれていました。僕と友人はトビタテ留学JAPANという奨学金プロジェクトを利用して留学を行なっており、友人は同じプロジェクトに参加している方(以下Aさんと呼びます。)でフランスに留学している知り合いがいました。そして、友人から現在の状況をAさんに伝えてもらい、Aさんから一言次のように言われました。「今回は、災難でしたね。パスポートを再発行なさると思うのですが最低でも申請から1週間はかかると思います。その間はパリにいなければいけません。宿などは大丈夫ですか?」この時、私の頭の中は再び真っ白になりました。もちろん、盗難にあい、大きなショックを受けたのは確かですが、「まあ、なんとかスロベニアには帰れるだろう!」と勝手に思い込んでいた自分にとって「パリに1週間?宿は?」私は一気に不安になりました。その時、私には、パリに知り合いなどおらず、頼れるのは一緒にいる友人とAさんの2人しかいませんでした。私はAさんからパリに住んでいる日本人の知り合いの方を2名ほど紹介していただくことができました。そして、紹介していただいた方と連絡を取り、なんとか次の日はその方のお宅に泊めていただけることになりました。海外のホテルでは、原則としてチェックイン時にパスポートを提示する必要があります。つまり、この時の僕は、"パスポートを持たず、身分を証明することのできない謎の東洋人"(少し誇張しているかもしれませんが、、、)状態で自力でホテルを予約することもできない"ホームレス"状態に陥っていたのです。

そのような状態でいろいろなことを調べていると時刻は既に現地時間の3時を回っていました。疲れよりも不安が大きく寝るに寝れない心理状況でした。なんとか4時ごろに寝付くことができましたが、一緒にいた友人は留学している国に帰るため6時頃にホテルを出発し、空港に向かいました。友人と別れ、とうとう一人になってしまった僕。パリという見知らぬ土地でパスポートもなく一人でいるというのは想像を遥かに超えて不安なものです。正直、今までの人生20数年の中で一番不安を感じました。

・パスポート再発行に向けて行うこと

さて、大きな不安に駆られていた僕ですが、パスポート再発行に向け、やらなければいけないことがあります。パスポートを再発行しない限り、スロベニアには戻ることはできません。インターネットで「海外 パスポート盗難」などと検索すればいろいろな情報が出てくるかと思いますが、今回は僕の経験談からできるだけ早くパスポートを再発行するために何から行えば良いのかということを優先順位が高いものから順に共有していきたいと思います。

①再発行に必要な書類の整理

 まず、はじめにやるべきこと。それは再発行に必要な書類の整理です。それに伴って、どのような流れでパスポートが再発行されるのかということを自分で理解することが今後、行動するにあたって重要になってきます。僕の経験を踏まえて必要な書類と再発行の簡単な流れを皆さんにシェアしたいと思います。

・必要書類

1. パスポート再発行申請用紙1枚(現地の日本国大使館窓口もしくは日本国大使館HPで無料で入手することができます。)

2. パスポート用証明写真2枚(地下鉄構内の写真機で撮ることができます。また、パリのピラミッド地区には日本語対応の写真館もあります。僕が行った時はちょうどお休みでした。)

3. 6ヶ月以内に発行の戸籍謄本もしくは戸籍抄本の"原本"1部(現地で入手することは不可能。手元にない場合は日本からの郵送が必要。)

4. 現地警察の盗難証明書1部(現地の警察署に行き、無料で発行してもらうことができます。)

5. 再発行申請手数料(5年用:84€、10年用:122€)c.f. 1€=122円(2019年12月現在)※現金のみ

必要書類と手数料は以上になります。また、流れとしては次のようになります。

申請書類を全て用意→大使館の領事部窓口に提出→再発行→手数料を払って新しいパスポートを受け取り

②戸籍謄本もしくは戸籍抄本の"原本"を手元に用意する。

 パスポートの再発行に必要な書類のうち唯一現地で調達することができない書類が戸籍謄本もしくは戸籍抄本の"原本"です。(抄本は謄本内の個人つまり、特定の人物の情報を抜き出したもの。)ここで重要になってくるのが"原本"というワードです。つまり、もし手元にこれら書類の原本がなければ日本から郵送してもらわなければならないのです。(ほとんどの方が手元に原本を持っていないと思うので日本から書類を郵送してもらうことを前提に話を進めていきます。)日本からヨーロッパまで、書類を郵送するのに有する時間は日本郵便の国際スピード郵便(通称、EMS)を使用して、場所にもよりますが最速3日から5日、一般的には1週間と言われています。税関などでなんらかのトラブルが生じてしまうと到着は遅れ、最悪の場合、2週間以上かかることもあるそうです。僕の場合は、日本からパリまで8日間もの時間を要しました。(日本の外務省もしくはパリの日本国大使館に問い合わせることで書類をパリの日本国大使館宛に郵送することができる。)

※郵送する前に必ず、携帯のカメラなどで良いので控えを用意してしておいてください。この控えがのちに重要になります。

③現地警察に行き、盗難証明書を発行してもらう。

 ②で説明した戸籍の手配と並行して現地警察から盗難証明書を発行してもらう必要があります。パリの主要な都市には24時間対応の警察署があります。現地警察では、まず受付で簡単に被害状況を書類に記入することになります。(書類のフォーマットはここ)

基本的に書類はフランス語もしくは英語記載になるので、言語に自信がある方以外は事前にフォーマットを確認しておくことで記入がスムーズになると思います。僕も事前にフォーマットを確認しておいたので、警察署での書類記入をスムーズに済ませることができました。受付で書類の記入を終えると待合所でその後の指示を待ちます。自分の順番が来ると別部屋に案内され、盗難の詳しい状況聴取と証明書作成に移ります。人にもよると思いますが現地警察の方(というよりフランス人の方の多く)は基本的に英語を話そうとせずフランス語を話す傾向にあると感じました。なので、フランス語を話すことができない方はインターネット翻訳等を利用して警察官の方とコミュニケーションを取るように準備した方が無難だと思います。僕も全くフランス語を話すことが出来ないので翻訳機を駆使してなんとか自分の状況を相手に伝えました。

聴取が終わると複数枚の書類にサインをして、証明書の発行は終了になります。利用する警察署や曜日、時間帯にもよると思いますが、証明書作成には想像よりも時間がかからと思います。(僕の場合、待ち時間も含めて3時間程度かかりました。)

④パスポート再発行用証明写真を用意

 次に行うことはパスポート再発行用証明写真を用意することです。撮影手段としては主に2点あります。1点目は、地下鉄構内にある撮影機を利用する方法です。日本によくある簡易的なボックス撮影機がパリの地下鉄構内にも基本的にはあります。もしくは写真館に行き、写真撮影を行うという方法です。パリのpyramidという地区には日本語対応の写真館もあります。ただ、料金は地下鉄構内にある撮影機に比べ割高だと思います。どちらの方法でも写真のサイズに注意することが必要です。そして、証明写真は2枚必要です。

⑤在フランス日本国大使館に行く。

今回のブログでは、私の経験上、"最速でパスポート再発行をする"ということを前提に話を進めていますが、一般的にはまず、在フランス日本国大使館に行って事情を説明するということが最初にすべきことだと思います。しかし、大使館は平日の9時半〜17時(昼休憩あり)のみの営業なので、盗難に遭ってしまったのが大使館の営業時間外もしくは土日、祝日だった場合、大使館に行く前にできることをやるということがその後のために重要になります。また、必要書類なども大使館のホームページにアクセスすることで確認できるので、私の経験からすると大使館に行くよりも先にやることはあります。さらに、大使館内でパスポート再発行業務を行う領事部では原則的に申請書類が全て揃わない限り、パスポート再発行手続きは開始されないのでまずやるべきことは、必要書類を一刻も早く手元に用意することです。

ここで一点注意点として、②戸籍謄本もしくは抄本の原本の用意でも言ったように原本の写メなどがここで重要になります。それらのコピー(写メやファックス等)があるとそれをもとに大使館の方で再発行手続きを進めてくれる場合があります。つまり、原本が届き次第、即日新しいパスポートを受けとることができるというわけです。

⑤手数料の用意

 パスポート再発行手数料は、パスポートの有効期限によっても異なります。5年用であれば84€(約10000円)、10年用であれば122€(約15000円)となります。ここで注意ですが手数料は現金でなければいけません。もし現金がない場合は、現地の銀行もしくはATMでキャッシングしなければなりません。

以上を持って、パスポート再発行までの流れの説明を終わりたいと思います。説明が長く、複雑になってしまいました。

今回、このようなブログを書くかどうか正直迷いました。しかし、普段通りのブログを書く前に一区切りとしてこのブログを書くことにしました。私は結局12日間もの間、パリに滞在することになりました。盗難にあった時は、これからどうすればいいのか分からず、これまでに感じたことのない不安に押しつぶされそうになりました。しかし、沢山の人の助けのおかげでなんとか無事に留学先であるスロベニアに戻ることができました。パリ滞在中にお世話になった方々には本当に感謝しかありません。

盗難というのは誰にでも起こりうることだと思います。特にパリのような大都市では貧富の差が大きく、盗難などの犯罪で生計を立てている方も大勢います。

自分の身は自分で守るということ。「自分は大丈夫!」という思いを持たずに常に気をつけることが犯罪に巻き込まれないために重要になってくると思います。

このブログが少しでも皆さんのお役に立てる日が来ることを願います。

〜今後、随時更新予定〜

りょう