理系大学院生のトビタテ留学記~日本人の98%がいかないかもしれないスロベニア~

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中欧で最も歴史的な旧市街 グラーツ

 皆さんこんにちは、りょうです。もうすぐスロベニアに来て一ヶ月が経とうとしています。僕がスロベニアに来る前に心配していたことの一つ。それは、寒さです。僕が暮らしているマリボルは北緯約46度と日本の最北端である択捉島とほぼ同じ緯度にあります。九州出身で寒さに慣れていないので、スロベニアの寒さに耐えることができるのかとても心配でした。しかし、、、今日の昼の気温はというと21度!僕が暮らしていた九州とほとんど変わらない気温です。例年であればこの時期、スロベニア では平均気温が10度以下、一桁となるそうです。しかし、近年問題となっている異常気象の影響か今年は温暖な気候のようです。スロベニア人の友人も「おかしな天気だ」と言っていたほどです。そんなぽかぽか陽気なマリボルでは、10月後半にも関わらず半袖を着た人たちもちらほら見えます。しかし、もうすぐ冬本番を迎えることになります。いつ厳しい寒さが襲ってくるのかビクビクしています笑

 さて、そんな今日は先週末に旅行で訪れたオーストリア第二の都市であるグラーツについて皆さんに紹介していきたいと思います!

 首都であるウィーンに次いでオーストリアで2番目に人口が多い都市であるグラーツ。人口はおよそ25万人と日本の渋谷区と同じくらいです。また、グラーツ は1999年に街の中心部がグラーツ市歴史地区として世界遺産に認定されました。その後、2003年には欧州文化首都として認定されました。僕が住むスロベニアマリボルからおよそ70km、バスで1時間の距離にあります。

 グラーツにはもともと砦があり、砦はスラブ語で「グラデツ」と言います。そこから転じて今のグラーツという名前になったそうです。18世期末から19世紀初頭にかけてヨーロッパ全土を征服したあのナポレオン・ボナパルトもこのグラーツの地は直接的には攻略できなかったというすごい歴史を持っています。

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1.シュロスベルクの丘

 まず紹介するのは、シュロスベルクの丘です。シュロスベルクとは城山という意味で丘は、高さ473mの岩の上にあります。先程紹介した強固な砦があったのもこの丘です。頂上からは世界遺産であるグラーツの歴史地区を一望することができます。

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 また、丘には街のシンボルとなっている鐘塔と時計台があります。なぜ、この二つが街のシンボルなのか、それは単に街を一望できる丘の上にあるからではありません。先ほども紹介したようにグラーツの街は強固な砦に守られて、ナポレオンからの直接的な侵略を免れました。しかし、結局はナポレオンは首都であるウィーンを盾にとりグラーツの土地を侵略してしまうのです。その後、ナポレオンが締結したシェーンブルンの和約により要塞の破壊が決まりました。しかし、グラーツ市民は丘の上に建つ鐘塔と時計台の二つをお金で買取し、それらの自由権利を手にし、ナポレオンからの破壊を免れたのです。そのため、時計台と鐘塔は、グラーツの民にとって特別な存在となっているのです。

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 ここで、時計台について面白いお話を一つ。写真の時計台を見て、何時だと思いますか?

そう、12時54分!

では無いのです!写真を撮影した時刻は11時6分でした。

        ??????????

なんとこの時計台、短針と長針が普通の時計とは逆に付いているのです。時計台は、1265年に当時の要塞の一部として建設され、1712年に時計が取り付けられ現在の形になりました。この時、時間が見やすいように時間を示す長針だけが取り付けられたのです。その後、時が経ち短い分針が取り付けられ現在のような面白い時計台になったそうです。パッと見では時間を間違えてしまいそうになる不思議な時計台でした。

 そんな、シュロスベルクの丘への交通手段はいくつかありますが私は、往路として地上からのエレベーター、復路として丘の頂上から階段で移動しました。エレベーターは、岩山を切り開いたトンネルの中にあり、一気に丘の頂上まで行くことができます。

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写真でエレベーターの横に写っている配管のようなものはスライダーになっていて、丘の上から一気に下まで降りることができるようになっている模様でした。ただ、滑り降りている人は一人も見ませんでした笑他の手段としては岩山を切り開いて作られた階段があります。階段はは260段あり途中、庭園などもあるのでゆっくり休憩しながら進むことができます。

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復路では、眼下にグラーツの街を見下ろしながら丘の頂上から地上へと降りることができ、絶景を楽しむことができます。エレベーターと階段の他にもケーブルカーもあり、街中を走るトラムとの共通チケットで乗車することができるそうです。個人的には、エレベーターもしくはケーブルカーで丘の頂上まで行き、階段で丘の頂上から地上に降りるという手段をおすすめします。景色を楽しめることはもちろん、体力的にもオススメです笑

 

2.エッゲンベルク城

 エッゲンベルク城は、グラーツ市街の歴史地区から約3キロ西方にあり、市街からトラムで約15分ほどの場所にあります。グラーツ歴史地区は街全体が1999年に世界文化遺産として登録されましたが、その11年後の2010年にこのエッゲンベルク城文化遺産として登録されました。

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 城は1625年から35年にかけて建設され、ルネサンス様式からゴシック様式の移行期、すなわちマニエリスム様式のものでした。その後18世紀に城を保有していたエッゲンベルク家から城の権利が離れ、ルネサンス様式の庭とマニエリスム様式の城館はロココ様式へと改築され、今の形に至りました。城の庭園は、様々な木々が繁りとても美しいものでした。また、庭園内には野生の孔雀が生息しており間近で美しい孔雀を見ることができます。

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 エッゲンベルク城はその設計にさまざまな特徴があります。城に建つ4本の塔は四大元素である火、空気(もしくは風)、水、土を意味しています。さらに窓の数365は一年の日数を、三階の連続する広間の数24は一日の時間を、その広間の窓の数52は一年の週(もしくは日曜日)の数と一致します。また24の広間は、バロック様式の装飾が施されています。さらに日本とも深い関係があり、広間の一つである日本の間には桃山時代の大坂を描いた図屏風が展示されているそうです。なお、これらの展示を見るには城への入場料とは別に展示物閲覧料がかかります。さらにエッゲンベルク城を訪れる際の注意点として城内の展示は、4月から10月までしか行われておらず時期によっては注意が必要です。

 

3.ムーアインゼル

 グラーツの中心を流れるムーア川、その流れの真ん中に突如として現れる謎の建造物。それがムーアインゼルです。

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長さ約50m、幅約20mの建造物で、2003年にグラーツ欧州文化首都に選ばれたことを記念して建設されたそうです。欧州文化首都とは、ヨーロッパ内で一年を通じて様々な文化事業を集中して開催する都市のことを言います。ちなみに僕の住むスロベニアマリボルも2012年に選ばれています。建物の中にはカフェが併設しており、ケーキやコーヒーを楽しむことができます。また、ムーア川は流れが非常に速いため、座っていてもわずかに建物が川の流れで動いていることを感じることができました笑

 

 以上、今回はオーストリア第二の都市、グラーツについて紹介をしました。オーストリアといえば首都のウィーンが有名ですが様々な歴史を乗り越え、「中欧で最も完全な歴史的旧市街」とまで言われるグラーツもとてもオススメです。街全体が非常にコンパクトで一日もあれば街全体を観光することができると思います。ヨーロッパを訪れた際は、ぜひ!